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ものづくり現場レポート

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株式会社奥村坩堝(るつぼ)製造所

“受け継がれる坩堝づくり

坩堝(るつぼ)とはガラス原料を溶かす容器のこと。1500度にもなる炉の中でガラス原料を溶かし、ガラス素地(きじ)を生みだします。現在、坩堝を製造する企業は日本で2社のみ。奥村坩堝製造所は99年前から坩堝(るつぼ)を製造する企業です。日常に溢れる様々な手でつくられているガラス製品は坩堝なくして生まれません。

株式会社奥村坩堝(るつぼ)製造所
大阪市東成区中道2-13-14
従業員数 38名
URL: http://www.okumurarutubo.co.jp/

坩堝職人 上原 修(うえはら おさむ)さん(25歳)

100年先に残す技

坩堝職人 上原 修(うえはら おさむ)さん(25歳)

入社7年目の上原 修さん。坩堝づくりの後継者として日々修行に励む若手職人に『坩堝づくり』のやりがいを聞きます。

手で見て、目で感じる

指先の感覚ひとつで粘土の塊を成形していく。厚さ、角度、大きさ。目と手先の感覚が全て。「坩堝(るつぼ)の良し悪しは、実際に納品先でガラスを溶かしてみないとわからないんです。見た目は綺麗でも質が良いとは限りません。成形時に坩堝とどれだけ向き合えるかが大切なんです」。そう話すのは入社7年目の若手坩堝職人、上原さん。坩堝はガラス原料の融解に使用される容器です。1500度にもなる炉の中でガラス原料を溶かし、コップ、花瓶や酒瓶、様々なガラス製品を生みだします。

蝋石(ろうせき)を主原料とした粘土を積み上げていくところから坩堝づくりは始まります。粘土の塊をろくろで回しての成形。回る粘土を鉄のヘラで削り、絶妙な手さばきで整えていく。「土の中に空気が入っていると、空気が膨張して坩堝に穴があいてしまいます。表面に見える分は空気を潰したりできるんですけど、真ん中に入り込んでしまうとわからないので、土を積み上げるところから坩堝づくりは始まっています」

大規模なガラス工場が次々と廃業するのに伴い、坩堝の製造所は現在、日本で2社。ろくろでの坩堝成形を行っているのは日本でも上原さんと先輩職人の加藤さんの2人だけです。

手で見て、目で感じる

伝統の技を絶えさせない

伝統の技を絶えさせない
伝統の技を絶えさせない2

完成した坩堝は日本各地のガラス製造企業へと配達され、様々なガラス製品を生みだします。

高校生のとき、就職先を探して眺めていた求人票。そこで上原さんは『奥村坩堝製造所』の求人票と出会います。「坩堝を知っているどころか、坩堝の漢字も読めませんでした(笑)。会社に見学へ行ったときに、黙々とろくろを回す職人がいて。直感ですね。ここで働きたい! と」。坩堝職人歴50年の加藤さんの技に目を奪われた上原さん。入社後、3年間は下積み、4年目から加藤さん指導のもと、ろくろでの坩堝製造を任されました。それから今日まで、朝から晩まで、ひたすら坩堝と向き合う日々です。

「やればやるほど坩堝づくりの奥深さを感じています。加藤さんは長い間1人で技を守ってきました。それをキチンと受け継いで、100年後にこの技を残さなきゃいけないという責任を感じています。まだまだ質もスピードも何もかも加藤さんの足元にも及びませんけどね。でも、いつかは追い抜かなきゃいけない存在です」

坩堝は一般ではなかなか目に触れる機会がありません。硝子職人が使用して、様々な製品を生みだすもの。「坩堝の寿命は通常35日ほどですが、1日でも長く使える坩堝をつくることが目標です」。職人を満足させる坩堝を目指して、上原さんは坩堝づくりに励みます。